原盤カッティングと同様のリニアトラッキングを叶えたTHALES(ターレス)のパフォーマンスは、多くのアナログ・ファンの脳裏に焼き付きました。しかし、その複雑な形状はターンテーブルによっては取り付けが難しく、また高価な上に取扱いは極めてセンシティブなものでした。設計者であるミッハ・フーバは、ターレスで示した圧倒的な性能をより身近なものにするため、新しいアイディアを持って新たなトーンアームの開発に着手しました。
ここに紹介するSIMPLICITY(シンプリシティ)は、2010年5月にミュンヘンで行われたハイエンドショウで初めてそのベールを脱いだ最新作です。その形状は一見オーソドックスなトーンアームと見間違うほどシンプルなものですが、慎重に観察すると誰もがその斬新なテクノロジーに驚きを隠せないでしょう。シンプリシティには、ターレスにも使われたカルダン・ベアリングが存在しますが、三角形のターレスの定理をもとに考案されたターレスと違い、シンプリシティは四角形のTETRAGON SOLUTION(テトラゴン・ソリューション)をアイディアの基本としています。このリニアトラッキング方式は1953年にバーン・ジョーンズが提唱した後、1970年に発表されたGARRARD ZERO 100がポピュラーな存在となりましたが、シンプリシティは過去のモデルをはるかに凌ぐトラッキングエラー0.008°以下を実現しています。
アナダイズ・ブロンズ加工で表面処理された2本のアームは比率を変えることで、それぞれの共振周波数を打ち消すよう調整されており、ミッハ・フーバ自身により組み上げられる100以上のパーツは、スイスで最も近代的なプロセス・エンジニアリングで製造されています。カートリッジは着脱が簡単な専用シェルに取り付けられ、付属する特別なツールにより誰もが正確な取り付け位置を決めることが出来ます。
※写真2枚目はHOLBORNE ANALOG2 for SIMPLICITY (\787,500/アームレス)との組み合わせです。
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